Business Visaで働けますか?
働けません。商談、会議、契約交渉、視察などの非就労活動は可能ですが、現場作業、技術支援、営業活動、継続的な業務遂行にはWorking KITASなど別の許可が必要です。
ビザ・KITAS
インドネシアで日本人駐在員、役員、投資家を派遣する企業向けに、Working KITAS、Investor KITAS、Business Visa、RPTKA、E23/E28、更新・家族帯同・EPOの実務を整理。
インドネシアで日本人駐在員、役員、技術者、投資家を配置する場合、ビザ・KITASの選択は単なる入国手続きではなく、法人設立、雇用、税務、投資報告、取締役責任、家族帯同まで関わる重要なコンプライアンス論点です。2024年から2026年にかけて、インドネシアの入国管理制度は旧来のC312、C313、C314といったコード体系から、E23、E28、C2、D2などの新しい分類へ移行し、OSS-RBA、Coretax、TKA Onlineとの連携も強まっています。この記事では、日本企業が誤解しやすいWorking KITAS、Investor KITAS、Business Visit Visaの違いと、実務上の進め方を整理します。
インドネシアの企業向け移民・労務制度は、近年大きくデジタル化されています。従来はC312が就労、C313/C314が投資家向けKITASとして知られていましたが、2025年のビザ分類見直し以降、限定滞在許可はEシリーズを中心に整理され、就労者はE23、投資家はE28、短期商用訪問はC2またはD2といった形で扱われるようになっています。
この変更は単なる名称変更ではありません。移民局、労働省、OSS-RBA、税務システム、投資報告がオンラインでつながり、会社の税務・投資・労務コンプライアンスに問題があると、RPTKAやビザ更新が止まるリスクが高まっています。日本企業は「入国できるか」だけではなく、「会社側がスポンサーとして適格か」「外国人本人の活動内容がビザ区分に合っているか」を同時に確認する必要があります。
特に日本本社からインドネシアへ駐在員を送る場合、赴任者本人の書類だけを準備しても不十分です。スポンサー企業のNIB、NPWP、会社登記、WLKP、LKPM、BPJS、税務状況、役職名、ローカルカウンターパートまで確認されるため、法人設立・人事・税務・総務が連動したプロジェクトとして進めるべきです。
Working KITAS(E23)は、インドネシア法人に雇用され、現地で実際に業務を行う外国人のための滞在許可です。技術者、マネージャー、現地法人の取締役、専門職、プロジェクト担当者など、インドネシア国内で日常業務や運営に関与する場合、通常はWorking KITASの検討が必要です。
E23の前提となるのが、労働省へのRPTKA(外国人労働者使用計画)の承認です。会社は、なぜその外国人を雇用する必要があるのか、どの役職で、どの期間、どのローカル社員に知識移転を行うのかを説明しなければなりません。外国人労働者は原則として一時的な専門人材として位置づけられ、インドネシア人への技能移転が制度の前提になっています。
日本企業が注意すべきなのは、役職名です。インドネシアでは外国人が就ける職位が労働省の職位リストに基づいて管理されており、特に人事・労務・採用関連のポジションは外国人に認められていません。日本側の組織図でHR Directorや人事責任者とされている場合でも、そのままRPTKAに載せることはできず、実際の職務内容と法令上認められる職位を慎重に整理する必要があります。
Working KITAS保持者は、インドネシア法人から給与を受け取り、個人所得税、BPJS、雇用関連の報告対象になります。したがって、ビザ取得後も給与計算、個人NPWP、BPJS登録、年次税務申告、雇用契約、就業規則との整合性を管理する必要があります。
Investor KITAS(E28)は、インドネシアに一定以上の投資を行う外国人株主や役員向けの滞在許可です。Working KITASと異なり、RPTKAやDKP-TKAの負担を回避できるため、日本企業の役員や出資者にとって魅力的に見えます。しかし、Investor KITASは「何でもできる便利なビザ」ではありません。
標準的なInvestor KITASでは、申請者本人がPT PMAにおいて10十億ルピア以上の株式価値を保有していることが重要な基準になります。ここで混同されやすいのが、PT PMAの最低払込資本2.5十億ルピアと、個人投資家としてのInvestor KITAS要件です。会社設立上の最低資本金を満たしていても、個人として10十億ルピア相当の株式を保有していなければ、Investor KITASの対象にならない場合があります。
Investor KITASの保持者は、会社の高次の経営判断、契約署名、株主・役員としての監督、戦略決定などを行うことはできます。一方で、日常的な営業活動、現場管理、技術作業、採用実務、プロジェクト運営などのオペレーション業務を行うことは想定されていません。また、通常の従業員給与を受け取るのではなく、配当や役員報酬の扱いが論点になります。
日本企業では、現地法人のDirectorだからInvestor KITASでよい、と誤解されることがあります。しかし、本人の株式保有額が基準を満たさないDirectorやCommissionerは、労働省上は通常の外国人労働者として扱われ、Working KITASとRPTKAが必要になる可能性があります。役員名義、株式保有、実際の活動内容を分けて確認することが重要です。
Business Visit Visaは、短期の商談、会議、契約交渉、現地視察、サプライヤー訪問、展示会参加などを目的とするビザです。単一入国のC2、複数回入国のD2などがあり、通常は1回の滞在が最大60日程度で設計されます。市場調査や初期商談には便利ですが、就労や現場作業のためのビザではありません。
最も危険な誤解は、日本本社の社員をBusiness Visaで入国させ、現地で技術作業、システム導入、機械修理、現場監督、営業活動、継続的なプロジェクト管理を行わせることです。たとえ給与が日本本社から支払われていても、インドネシア国内で実質的に業務を遂行していれば、移民法上の問題になり得ます。
C2/D2で許されるのは、あくまで非就労のビジネス活動です。例えば、会議出席、取締役会、契約交渉、購買先の確認、短期視察などです。一方で、継続的な現場作業や技術提供が必要な場合は、Working KITAS、または短期技術活動に対応する別のビザ区分を検討する必要があります。
日本企業の現場では、「数日だけだから」「給与は日本払いだから」「まだ法人設立前だから」という理由でBusiness Visaを広く使いがちです。しかし、発覚した場合は本人の強制退去、罰金、ブラックリスト、スポンサー企業の信用低下につながるため、活動内容ベースでビザを選ぶ必要があります。
Working KITASの手続きは、まずスポンサー企業側の準備から始まります。会社は、NIB、Akta、SK Kemenkumham、NPWP、WLKP、会社所在地、インドネシア人責任者、メールアドレス、電話番号などを揃え、移民局と労働省のオンラインシステムでスポンサーとして登録されている必要があります。
次に、労働省のTKA Onlineを通じてRPTKAを申請します。この段階で、外国人の職位、職務内容、雇用期間、学歴、職務経験、インドネシア人ローカルカウンターパート、知識移転計画を提出します。職位や学歴・経験の整合性が弱い場合、差し戻しや追加説明が発生します。
RPTKAが事前承認されると、DKP-TKAまたはDPKKと呼ばれる外国人労働者補償金の請求コードが発行されます。標準的な1年のWorking KITASでは、月額100米ドル、合計1,200米ドルを前払いする必要があります。支払い確認後、労働省からNotificationが発行され、これが実質的な就労許可として機能します。
その後、移民局にVITAS/E-Visaを申請します。E-Visa発行後、本人は一定期間内にインドネシアへ入国し、現地の入国管理事務所で指紋・写真などのバイオメトリクス登録を行います。登録後、e-KITASとMERPが発行され、正式な滞在と出入国が可能になります。最後に、SKTT、STM、個人NPWP、BPJSなどの入国後手続きを完了させます。
Investor KITASの場合、Working KITASとは異なり、RPTKAとDKP-TKAは原則不要です。ただし、代わりに投資家としての適格性、株式保有額、会社の登記・投資計画・LKPM状況が重要になります。申請者本人が10十億ルピア以上の株式価値を持っているか、定款・株主構成・OSS情報が一致しているかを確認します。
Investor KITASは、ビザ取得時だけでなく、取得後の投資実現管理が重要です。PT PMAはBKPMに対してLKPM(投資活動報告)を提出する義務があります。投資計画に対して実際の投資実現が進んでいない、またはLKPMが未提出の場合、将来のビザ更新や会社ライセンスの変更に影響する可能性があります。
また、Investor KITAS保持者の活動範囲には注意が必要です。役員として契約を締結したり、戦略判断を行ったりすることはできますが、日常的な労務やオペレーションを行うことは避けるべきです。実態として現地法人で働いていると見なされる場合、Working KITASが必要だったと判断されるリスクがあります。
日本本社がDirectorを派遣する場合は、株式を持たせるのか、給与を払うのか、どの程度現地業務に関与するのか、出張ベースか常駐かを整理し、Investor KITASとWorking KITASのどちらが適切かを判断する必要があります。
駐在員が家族を帯同する場合、配偶者や子どもは家族帯同用のKITASを申請します。婚姻証明書、出生証明書、パスポート、写真、保証書などが必要になり、日本語書類は英語またはインドネシア語への翻訳・認証が求められる場合があります。家族帯同者は原則としてインドネシアで就労できないため、配偶者のリモートワークや副業にも注意が必要です。
すでにインドネシアに滞在している外国人が、訪問ビザからKITASへ切り替える場合や、雇用主・ビザ区分を変更する場合、Bridging Visa(Izin Tinggal Peralihan)が論点になります。これは現在の滞在許可から次の滞在許可へ移行するための一時的な制度で、期限管理を誤るとオーバーステイにつながります。手続きは現行ビザの期限前に余裕を持って進める必要があります。
KITASの更新では、会社側の税務、LKPM、BPJS、WLKP、RPTKA、本人の税務申告、住所、役職、パスポート有効期限が確認されます。制度がデジタル連携されているため、会社の税務や投資報告の不備が、本人のビザ更新に影響する可能性があります。
赴任終了時には、EPO(Exit Permit Only)による正式な終了手続きが重要です。KITASを放置して出国すると、移民局・税務・BPJS上で本人が居住者として残り、将来の再入国や再申請、会社側の管理に問題が出る可能性があります。
会社側では、Akta Pendirianおよび変更証書、SK Kemenkumham、NIB、NPWP、会社所在地証明、WLKP、会社メール、インドネシア人責任者のKTP、組織図、職務内容、ローカルカウンターパート情報などを準備します。Working KITASの場合は、RPTKA申請のために職位、業務内容、雇用期間、給与、知識移転計画も必要になります。
本人側では、パスポート、写真、CV、大学卒業証明書、職務経歴証明書、保険証明、銀行残高証明などが必要になることがあります。パスポートは申請期間に応じた残存期間が求められるため、赴任直前に有効期限が不足していると手続きが止まります。
学歴証明書や職務経歴証明書は、職位との整合性が重要です。例えば、技術職としてRPTKAを申請する場合、学歴や過去の経験がその職務内容と結びついている必要があります。日本語書類については、宣誓翻訳や英語書類の準備が必要になるため、早めに確認すべきです。
家族帯同の場合は、婚姻証明書、出生証明書、家族関係を示す書類、保証書、写真などを追加で準備します。日本の戸籍謄本を使う場合、翻訳・認証の形式を事前に確認しておくとよいでしょう。
すべての書類が整っている場合、海外からのWorking KITAS申請はおおむね4〜6週間程度を見込むことが多いです。スポンサーアカウント登録、RPTKA承認、DKP-TKA支払い、E-Visa発行、入国、バイオメトリクス、e-KITAS発行、SKTT・STMなどの入国後手続きを合わせた期間です。優先処理が使える場合でも、会社側の税務・労務・投資報告に不備があると、想定より大きく遅れることがあります。
費用面では、Working KITASの大きな固定費としてDKP-TKAがあります。標準的な1年許可では月額100米ドル、合計1,200米ドルを前払いします。これに加えて、E-Visa手数料、KITAS手数料、翻訳、認証、エージェント費用、BPJS、税務・労務関連のサポート費用が発生します。
Investor KITASはDKP-TKAが不要な点で費用負担が軽く見えますが、10十億ルピア相当の個人株式保有、LKPM、税務、配当・役員報酬の整理が必要です。単純な手続き費用だけで比較すると、実際の経営・税務上の負担を見落とす可能性があります。
Business Visit Visaは短期商談には比較的軽い選択肢ですが、現場作業や継続的な業務には使えません。安い・早いという理由だけで使うのではなく、活動内容に合うかを必ず確認する必要があります。
第一に、Business Visaで実務をしてしまうことです。商談や視察は可能でも、現場作業、技術支援、システム導入、営業活動、プロジェクト管理を行う場合は別のビザが必要になる可能性があります。
第二に、DirectorだからInvestor KITASでよいと判断してしまうことです。株式保有額が10十億ルピアに満たない場合や、実際には現場業務を行う場合、Working KITASが必要になる可能性があります。
第三に、RPTKAの職位を日本の組織図そのままで申請することです。インドネシアでは外国人が就けない職位や、労働省が認める職位名があります。特にHR関連職位は外国人に認められていないため、実際の職務内容と法令上の職位を調整する必要があります。
第四に、知識移転義務を軽く見ることです。Working KITASでは、インドネシア人ローカルカウンターパートを設定し、技能移転や研修を行うことが求められます。更新時に形式だけでは不十分と判断されると、RPTKA更新に影響する可能性があります。
第五に、赴任終了時のEPOを忘れることです。日本へ帰任したから終わりではなく、インドネシア側の滞在許可、税務、BPJS、会社スポンサー情報を正しく閉じる必要があります。
IJB Consultingでは、日本企業のインドネシア赴任・駐在・役員派遣に関するビザ設計を、単なる申請代行ではなく、法人設立、人事、税務、投資報告、役員構成と連動した実務として支援します。
具体的には、Business Visa、Working KITAS、Investor KITAS、家族帯同KITASの選択肢整理、RPTKA方針、職位名の確認、ローカルカウンターパート設定、必要書類リスト、DKP-TKA、E-Visa、バイオメトリクス、e-KITAS、SKTT、STM、BPJS、NPWP、EPOまで、現地専門パートナーと連携して進行します。
また、PT PMA設立と同時に駐在員を置く場合、株式保有額、役員構成、Investor KITASの可否、Working KITASの必要性、会社側のスポンサー適格性を日本語で整理し、日本本社の社内稟議や赴任計画に使いやすい形でまとめます。制度や運用は変更されることがあるため、実際の申請前には最新の移民局、労働省、OSS、税務当局の運用確認を前提に進めます。
実際のご相談でも多い質問を整理しています。
働けません。商談、会議、契約交渉、視察などの非就労活動は可能ですが、現場作業、技術支援、営業活動、継続的な業務遂行にはWorking KITASなど別の許可が必要です。
Working KITASは現地法人で実際に働く外国人向けで、RPTKAとDKP-TKAが必要です。Investor KITASは一定以上の株式を保有する投資家・役員向けで、日常的な就労には使えません。
必ずしも取れません。本人が10十億ルピア以上の株式価値を保有しているか、活動内容が投資家・役員としての範囲に収まるかを確認する必要があります。
RPTKAは外国人労働者使用計画で、会社が外国人を雇用する必要性、職位、期間、ローカルカウンターパート、知識移転計画を労働省に説明する手続きです。
家族帯同KITASの保持者は原則として就労できません。配偶者が働く場合は、別途Working KITASなど適切な許可が必要です。
書類が揃っている場合、海外からのWorking KITAS申請は4〜6週間程度を見込むことが多いです。ただし、スポンサー企業の税務・労務・投資報告状況により遅れることがあります。
あります。EPOによりKITASを正式に終了し、税務、BPJS、会社スポンサー情報も整理する必要があります。放置すると将来の再入国や再申請に影響する可能性があります。
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